Bluetoothの規格の違い!バージョン確認方法や互換性と通信方式の違いを解説!
Bluetooth接続でイヤホンやキーボードを使う人が増えています。Bluetooth接続には規格があり、バージョンが違うと通信速度や使える機能に大きな違いが出てきます。この記事ではBluetoothの規格のバージョンについて詳しくお伝えします。
目次
- 1Bluetoothの規格のポイントとは?
- ・見るべき規格のポイントは3つ
- 2Bluetoothの規格(バージョン)の違いについて
- ・バージョンごとの性能や通信方式の違い
- ・バージョンの互換性について
- ・旧バージョンのデバイスは順次廃止へ
- ・スマホのBluetoothのバージョンの確認方法
- 3Bluetoothの規格のClassについて
- ・BluetoothのClassとは?
- ・Classの種類による接続距離の違い
- ・現在最も使われているClassは?
- 4Bluetoothの規格のプロファイルについて
- ・Bluetoothのプロファイルとは?
- ・バージョンによるプロファイルの通信機能の違い
- 5Bluetooth対応製品を選ぶときの規格のポイントについて
- ・音質の違いは?
- ・スマホやノートPCに対応しているバージョンを
- 6Bluetooth製品を購入するときには規格も要注意!
Bluetoothの規格のポイントとは?
iPhone X以降の最新版のiPhoneにはBluetooth5.0が搭載されたことが大きな話題になっています。Bluetoothというのは、赤外線通信でスマホやタブレット、PCとイヤホンやヘッドホン、キーボードやマウスなどの周辺機器をワイヤレスで接続できたり、他のスマホなどとデータをやり取りできる通信規格です。
最新版のiPhoneで話題になったBluetooth5.0というのは、Bluetoothの規格のバージョンになります。バージョンが上がっていけば上がっていくほど、通信速度や性能が上がっていくのは言うまでもありません。この記事では、現在5.0まであるBluetoothの規格のバージョンについて詳しく解説します。
まずはBluetoothの規格を見るときに注目するべきポイントについてお伝えします。
見るべき規格のポイントは3つ
Bluetoothで見るべきポイントには次の3つがあります。
バージョン
Bluetoothの規格にはバージョンがあります。バージョンというのは、Bluetooth4.2とかBluetooth5.0と表記される数字の部分のことです。現在までに1.0bから5.0まで11のバージョンが出されています。バージョンが上がれば上がるほど、通信速度や通信範囲が広がっていきます。
ただし、スマホやPCに搭載されているBluetoothのバージョンと、Bluetooth接続したいイヤホンやキーボードなどのバージョンが違う場合には、互換性がある場合には低いバージョンのBluetooth規格に合わせた機能しか使うことができません。
スマホよりも接続するデバイスのバージョンが低い場合には、スマホで発揮できる機能が全て発揮できずにもったいないです。接続デバイスのバージョンの方がスマホよりも高い場合には、価格が高くなるのでコスパが悪くなります。
Bluetooth接続する場合には、両方のバージョンを合わせることが大切です。
Class
Bluetoothの規格で見るべきポイントにはClassがあります。BluetoothのClassというのは、電波の到着距離のことです。現在のBluetoothにはClassが3段階あり、最大1mから最大100mの違いがあります。
プロファイル
Bluetoothの規格にはプロファイルもあります。プロファイルというのは、Bluetoothの通信機能でどのような機能を使うことができるのか、ということを表すものです。
例えば古いバージョンのBluetoothのプロファイルでは、イヤホンやキーボードを接続することはできますが、スマートウォッチを使って健康管理データをスマホに送ることはできません。Bluetoothを購入するときには、どのような通信機能を持っているのか確認してから購入することが大切です。
Bluetoothの規格(バージョン)の違いについて
ここからは具体的にBluetoothの規格の違いについてみていきましょう。ご紹介したBluetoothの3つの規格の中から、まずはバージョンの違いについて詳しく見ていきましょう。
バージョンごとの性能や通信方式の違い
Bluetoothのバージョンには1.0bから5.0まで、現在までに11種類が発表されています。それぞれのバージョンによって、性能や通信方式にどのような違いがあるのか、ということについてみていきましょう。
1.0b
Bluetooth1.0bは最初に作られたBluetoothのバージョンです。1999年に発表されました。
1.0b + CE (Critical Errata)
Bluetooth1.0b + CE (Critical Errata)は、1.0に修正を加えたバージョンです。
1.1
Bluetooth1.1からがBluetoothの普及バージョンになります。2001年に発表されました。その後、日本では2003年頃からBluetoothが普及し始めました。
1.2
Bluetooth1.2は2003年に発表されました。2.4GHz帯域の無線LAN (IEEE 802.11/b/g) など、他の無線通信方式との干渉対策が盛り込まれ、より確実に接続できるようになりました。
2.0
Bluetooth2.0は2004年に発表されました。より大きなデータ通信が行えるように、最大通史速度を3Mbpsに切り替えることもできるようにEnhanced Data Rate (EDR) がオプションで追加できるようになりました。
データ通信の変調方式を変更することで、高速化を図っています。基本的なネットワーク方式は変わらないために、1.1や1.2とは互換性がありました。
2.1
Bluetooth2.1は2007年に後悔されました。近距離無線通信の規格の一つであるNear field communication(NFC)に対応しました。ペアリングが2.0に比べると簡略化されて、より使いやすくなりました。
マウスやキーボードなど接続してないと困るけれども、いつも使っているわけではない、というデバイスもBluetooth接続で利用します。そういったスリープ状態になりがちな機器のバッテリーを最大5倍延長できるように、Sniff Subratingという機能が加わりました。
3.0
Bluetooth3.0は2009年4月に発表されました。Protocol Adaptation Layer (PAL) とGeneric Alternate MAC/PHY (AMP) によって無線LAN規格IEEE 802.11のMAC/PHY層が利用できるようになりました。
このことによって、最大通信速度を24Mbpsにできるハイスピードモードをオプションで追加できるようになりました。また同時に、電力管理機能を強化して省電力性を向上させ、より長時間の利用が可能になりました。
4.0
Bluetooth4.0は2009年12月に発表されました。Bluetooth Low Energy (LE)が追加されて、大幅に省電力されました。利用するデバイスによって当然、大きく差はありますが、使い方によってはボタン電池1つでも数年間の駆動が可能になるほど、省電力化された点が大きな特徴です。
転送速度は1Mbpsと小さくなりましたが、データパケットサイズが8 - 27オクテットと非常に小さくなりました。これは、家電製品に搭載されたセンサなどとのデータ通信を目的にしているためです。
4.1
Bluetooth4.1は2013年に発表されました。現在普及しているBluetoothのデバイスの半分程度が4.1のバージョンです。Bluetooth Low Energy (LE)をモバイルのデータ通信で利用できるように、通信サービスの電波との干渉を抑える技術とデータ転送の効率化が図られ、スマホなどに搭載されるようになりました。
その他にも自動再接続機能、直接インターネットに接続できる機能などを搭載し、以前のバージョンと比べると大幅に機能性が向上しました。
4.2
Bluetooth4.2は2014年に発表されました。現在最も普及しているバージョンです。4.2にはBluetooth Low EnergyにData Packet Length Extensionが追加されました。
このことにより、通信速度が4.1では260kbpsだったのが4.2では650kbpsと2.5倍に高速化しました。またBluetooth Low EnergyがIPv6/6LoWPANでインターネット接続ができるようになりました。
5.0
Bluetooth5.0は2016年に発表されました。現在のBluetoothの最新バージョンです。大きな特徴が、Bluetooth Low Energy のデータレートが2Mbps, 1Mbps, 500kbps, 125kbpsから選べるようになったことです。
1Mbpsの通信到達距離は4.2でも100mで、こちらは5.0になっても違いはありません。しかし、125kbpsの到達距離が400mと大幅に長くなり。通信の種類を選べば、かなり離れた距離でも通信が可能になりました。
現在は最新版のiPhoneのみに搭載されていますが、今後AndroidやノートPCにも搭載されるようになると、爆発的に普及する可能性があります。
バージョンの互換性について
Bluetooth接続は、親機となるスマホやPCと、子機となるイヤホンやヘッドホン、キーボードなどと無線接続することです。親機と子機のバージョンが違っていた場合の互換性が気になっている人もいることでしょう。
互換性については全く問題ありません。Bluetooth3.0移行であれば、すべてのバージョンで下位バージョンとの互換性を備えています。例えば、Bluetooth5.0なら1.1から4.2まで、Bluetooth4.2なら1.1から4.1まで互換性があります。
Bluetooth3.0と4.0以降の通信方式は違うので、互換性がないという人もいますが、基本的にBluetoothのデバイスはユーザーが互換性の心配をしなくてもいいように考えられています。現在最も普及している4.1以降のバージョンは、3.0以前のものとの互換性も考えて作られているので大丈夫です。
どうしても心配な場合には、Bluetoothのロゴを確認してみましょう。下の画像のように「SMART READY」とロゴの下に入っているものは、互換性があるということを意味しています。
違うバージョンとの互換性はありますが、通信機能や通信速度は下位バージョンの機能や速度に限定されるので、その点は注意しましょう。
旧バージョンのデバイスは順次廃止へ
Bluetoothの規格としては、どのバージョンも長く使い続けることはできますが、各メーカーから発売されているデバイスは順次廃止されていきます。古いバージョンのBluetoothデバイスと互換性があるはずなのに使えない、という場合もあります。
その場合には、Bluetoothのバージョンとの互換性はあっても、そのデバイスとの互換性へのサポートが終了している可能性があります。Bluetooth機器を利用している場合には、あまり古いものは利用できなくなる可能性もあります。最新のデバイスに交換することも考えましょう。
スマホのBluetoothのバージョンの確認方法
Bluetoothのイヤホンやキーボードを購入した場合には、パッケージや説明書についている仕様書を見ればBluetoothのバージョンを確認できます。しかし、スマホは設定からバージョン情報を確認しても、搭載しているBluetoothのバージョンを確認することはできません。
イヤホンなどの性能を最大限に生かすためには、スマホのバージョンとを合わせることが大切なので、スマホのBluetoothのバージョンを確認したいという人もいることでしょう。その場合には、そのスマホの公式ホームページを確認してみましょう。
検索エンジンで、iPhoneなら「iPhone7 仕様」などとiPhoneのバージョンの仕様で調べると、Appleの公式のページが出てきます。そちらを確認してみると、このようにBluetoothのバージョンが記載されているので確認できます。
Androidでも同じように「機種名 仕様」と検索すると、お使いの機種の仕様ページが出てきます。そちらにBluetoothのバージョンが記載されているので確認してみましょう。例えばソニーのXperia XZ2の仕様のページにはこのように記載されていて、Bluetoothのバージョンを確認できます。
Bluetoothの規格のClassについて
Bluetoothの規格にはClassもあります。こちらではClassについて詳しく見ていきましょう。
BluetoothのClassとは?
BluetoothのClassとは、電波の強度の規格のことです。電波の強度が強くなればなるほど、遠くまで電波を飛ばすことができます。現在BluetoothのClassは3つに分類されていますが、遠くへ飛ばせればそれでいいというわけではありません。
遠くへ飛ばせるということは、それだけ強い電波を出力しなくてはいけないので、バッテリーの減りが速くなります。また、赤外線の電波を飛ばしていい距離は、各国の法律で上限が決められています。Bluetoothの規格として長い距離に飛ばせても、実際には法律の制限で、その機能を発揮できないこともあります。
Classの種類による接続距離の違い
具体的にクラスによってどのくらい接続距離に違いがあるのか見ていきましょう。現在、BluetoothのClassには次の3つがあります。
Class | 最大出力 | 最大通信距離 |
Class1 | 100mW | 約100m |
Class2 | 2.5mW | 約10m |
Class3 | 1mW | 約1m |
尚、日本の法律では上限が50mWに制限されています。
現在最も使われているClassは?
現在もっとも普及しているClassはClass2です。Bluetooth4.2と5.0ではClass1も利用することができますが、実際にはClass1の通信距離を使いこなしている場面はそれほど多くありません。また、Class2の最大出力の2.5mW以上であればClass1に分類されてしまうので、実際には最大出力が100mWない場合もあります。
Class1の接続距離を期待して購入しても、実際には100mは出せない場合もあるので、購入する場合にはClassよりも最大出力を見るようにしましょう。
Bluetoothの規格のプロファイルについて
Bluetoothの規格にはプロファイルもあります。プロファイルについてみていきましょう。
Bluetoothのプロファイルとは?
Bluetoothのプロファイルというのは、どのような種類のデータ通信ができるのか、というのを定義したものです。最初の頃のBluetoothの規格では、音楽を聴くのにBluetoothを利用できても、スマートウォッチから送信された心拍数を受信することはできません。
これは、デバイスに搭載されているBluetoothのプロファイルで健康管理用のデータを送受信できるように設定されていないからです。
また、例えばイヤホンやマウスに心拍数を送信するためのプロファイルを搭載する必要はありません。イヤホンには音楽や音声の送受信をするためのプロファイルのみが、マウスにはマウスポインタを動かすのに必要なデータを送信するためのプロファイルのみが搭載されています。
スマートウォッチなど、多機能なデバイスを利用する場合には、どのようなプロファイルが搭載されているのか確認することも必要でしょう。
バージョンによるプロファイルの通信機能の違い
利用することができるプロファイルの種類は、Bluetoothのバージョンで違います。バージョン3.0までに搭載されていたプロファイルと、4.0以降で利用できるようになったプロファイルをそれぞれ見ていきましょう。
バージョン3.0以前のプロファイル
Bluetoothのバージョン3.0までに搭載されていたプロファイルには次のものがあります。
プロファイル名 | 機能 |
DUN | Bluetooth接続を介した、インターネットへのダイヤルアップ接続 |
FTP | データ転送 |
HID | マウスやキーボードなどの入力装置のワイヤレス化 |
OPP | 名刺データの交換 |
HSP | 音楽Playerなどのヘッドセットとの接続、通信 |
HFP | ヘッドセット等の通話機能 |
A2DP | ヘッドフォンやイヤホンに音声を転送する機能 |
AVRCP | AV機器のリモコン操作 |
バージョン4.0以降のプロファイル
バージョン4.0以降に追加されたプロファイルには次のものがあります。
プロファイル名 | 機能 |
Battery Service Profile | バッテリーの残量を通知する |
FMP | デバイスの再検索 |
TIP | 時刻の修正 |
ANP | 音声やメールを通知 |
PASP | 電話着信を通知 |
HOGP | 低消費電力接続 |
SPP | Bluetooth機器を仮想シリアルポート化 |
HCRP | ファイルの印刷・スキャン |
BPP | プリンターへのデータ転送 |
BIP | 画像の送受信・印刷 |
PAN | Bluetoothでのテザリング |
VDP | ビデオデータをストリーミング配信 |
PXP | 接続機器間の距離をモニタリング |
HDP | 健康管理機器同士を接続 |
Bluetooth対応製品を選ぶときの規格のポイントについて
Bluetooth対応製品を購入するときに、気を付けたい規格のポイントについて最後に見ておきましょう。
音質の違いは?
Bluetooth接続で最も使うデバイスが、イヤホンやヘッドホンでしょう。イヤホンやヘッドホンは、有線接続と比べると、Bluetooth接続のものは音質に違いがいあるという声もあります。Bluetoothのものでは音質が劣化するといいますが、実施債のところはそのようなことはありません。
確かに以前のBluetooth接続のイヤホンやヘッドホンは音質の劣化なども確認されていました。しかし、現在普及している4.1以降のバージョンでは、通信容量が増えて通信速度も速くなったので、劣化しない音を楽しめるようになりました。
Bluetooth接続のイヤホンやヘッドホンの音質が気になる場合には、古いバージョンのイヤホンは選ばずに、新しいものを選ぶと確実です。
スマホやノートPCに対応しているバージョンを
それから、Bluetooth接続のデバイスを購入するときにはスマホやノートPCに搭載されているバージョンと同じ規格のものを選ぶようにしましょう。バージョンが上がれば機能性が高くなる分だけ価格が高くなります。
しかし、Bluetoothの性能はバージョンが低い方に合わせるので、高いバージョンのものを買っても、利用できない機能や性能は無駄になります。同じバージョンのものを購入すれば、そのような違いは気になりません。親機となるデバイスのBluetoothのバージョンも確認した上で購入しましょう。
Bluetooth製品を購入するときには規格も要注意!
この記事ではBluetoothの規格のバージョンについてみてきました。現在は4.1、4.2、5.0が主流ですが、古いバージョンを使っている人もいることでしょう。バージョンが違うと、Bluetoothの通信速度なども大きく変わってきます。
新しくBluetooth対応機器を購入する場合には、親機と子機のバージョンや規格にも注意して選んでみましょう。そうすれば、Bluetoothの機能を最大限に生かすことができるようになります。